『建物を解体すると税金が上がると聞くけど?』

ここでの税金とは具体的に「固定資産税・都市計画税」のことを指します。
住宅(家屋)を解体すると税金が上がるという背景には、住宅が建っている土地の場合、土地にかかる固定資産税は特例処置により軽減されています。
つまり住宅を解体することによりこれまで受けていた固定資産税の特例措置が受けられなくなり、その結果税額が高くなることになります。

<住宅がある場合の固定資産税の軽減割合>
住宅用地で200㎡以下の部分について、住宅がある場合の固定資産税は固定資産税評価額に1/6をかけることができ、都市計画税は固定資産税評価額に1/3をかけることができます。

参考例(200㎡で5,000万円の土地がある場合)
固定資産税 5,000万円×1/6×1.4% =約11.6万円
都市計画税 5,000万円×1/3×0.3% =約5万円
この場合の負担は16.6万円となります。

※200㎡を超える部分についての固定資産税は固定資産税評価額に1/3をかけることができ、都市計画税は固定資産税評価額に2/3をかけることができます。

解体により特例措置が受けれなくなるからといって税金が6倍になるという訳ではありません。「負担調整措置」というものを国は用意しているので実際には約3~4倍程度上がるというのが現実的です。

◆解体によって住宅(家屋)の固定資産税はなくなる
特例措置が受けられなくなりますが、住宅がなくなる為、住宅部分の固定資産税と都市計画税はかからなくなります。

◆どの時点の固定資産で評価されるのか?
固定資産税の課税判断は毎年1月1日時点で行われます。その年の1月1日に建っていれば、その年の途中で取り壊しをしても1月1日時点の評価で算出されます。

◆特定空き家と判断された場合の税金について
特定空き家とは
平成26年に「空き家等対策の推進に関する特別措置法」が立法化されました。
・空き家が放置され著しく保安上危険となる恐れのある状態
・景観を損なっている状態
・衛生上有害となる恐れのある状態
・近隣周辺の生活環境の保全が損なわれている状態
にあてはまると特定空き家に認定され、固定資産税の軽減措置の適用の対象外となります。
つまり土地の上に住宅があったとしても「特定空き家」のような近隣周辺に危険や迷惑をかけるような状態の場合には軽減措置が受けれないということになります。

以上のことから、固定資産税の額は1月1日時点の状態で決まります。解体の時期を調整することによって税金を抑えられる場合があります。
解体後に税金が高くなるという場合であれば時期を1月1日より遅らせることで固定資産税を抑えられます。
逆に解体によって固定資産税が下がるという場合であれば時期を1月1日よりも前に行うことで固定資産税を抑えることが出来ます。
解体工事の時期を判断する一つの材料として、税金の考慮もお考え下さい。